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Reiko News



 ■ママのひとりごと 2009年7月20日号


タイタニック 再び・・・

 父は私によくタイタニックの話をした。
通信兵で大連やハルピンを安全に転戦したと言うが、幼い私にSOSはこう打つんだと、よくやって見せた。 ト・ト・ト・ツーツーツー・ト・ト・ト・・・これを早く打つからトロロ・ツーツーツー・トロロに聞こえるんだと言いながら、繰り返し打ち続けた。 何か身に危険が起きた時それで助かるドラマを想像しながら、一生懸命覚えた。

 タイタニックがSOSを発信した時、最初にかけつけた船が到着したのは2時間40分後であったと言う。 それでも海のルールとマナーは厳然と存在していた。3時間のかなたからも駆けつける。 それが海の男たちの心意気なのであった。 とにかく駆けつける。 たとえ向かう港が反対の方角であろうと、何時間かかろうと駆けつける。

 私は何が言いたいのか。
タイタニックである。 沈みかけているのである。 7月の「森口丸」である。 船長の私は沈みかけるといつもこの豪華客船の名前を思い出す。 父が教えてくれたSOSの信号を机の上で打っている。 トロロ・ツーツーツー・トロロ・・・ハァ(ためいき)・・・

 父が何故タイタニックの話をよくしたのか後にわかった。 父の生まれた年にタイタニックは沈んだのであった。 この世に浮沈神話などない。 必要とされなくなったら沈没するのである。 運ぶ命は過酷である。 来てね・・・

 麗子


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