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Reiko News



 ■ママのひとりごと 2005年9月号


  口紅と笑顔

 家の近くに小さいけれどおしゃれな化粧品屋さんがあった。
私が中学の頃できた店だから、そうとう古い。
時代とともに内装はいろいろ替わったけれど、同じ場所に同じサイズでいつもその時代に合った品のよさと華やかさで 存在していた。

久しぶりに口紅を買いにドアを開けた時、いつも笑顔で迎えてくれるママの代りにご主人がいた。
「あれ、ママは?」あたりまえのように私は聞いた。
いつも必ずそこにはママの笑顔があったのだ。
「昨年、亡くなりました。」ご主人の寂しさをおさえた声が私の頭の中でみょうな響きで反響した。異様にショックだった。
しばらく宙を浮いた気分でご主人と話をして店を出た。

高校を卒業した時、初めてその店にひとりで入った。
何となく気恥ずかしく緊張で胸がドキドキした。
その時ママと相談して一本の口紅を買ったのだった。
以来私の人生とともにその店はあった。
そのうち、塗りたくってもてようと言う時代も過ぎ、人生の変化にともなって何年か空いたりもしたけれど、何かプレゼントなどあると覗きにいったものだ。
ママのセンスが良いので必ずみつかるし、さがしてる間も楽しい店だった。

最後の口紅を買って間もなくその店が閉めたと聞いた。
継続は力と言うけれど、改めて化粧品だけではなく素晴らしい笑顔ももらっていたことに気づいた。
長い間ほんとにありがとう。
「私もがんばる!」と消えぬママの笑顔につぶやいた。

麗子


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