娘の結婚
娘が突然結婚した。
自分の事を話さない娘で、育てはしたものの彼女のことはあまり知らない。
ボーイ・フレンドは学生時代からたくさんいたが、ステディと思われる相手はいなかった。
就職した時は、お客様から「あそこは、良い若い人がいっぱいいるからすぐ結婚するワ。」
「良い子なら1〜2年で皆売れてるよ。」と聞いて、私は舞い上がった。
美人ではないが悪い子ではないし、運だけは強い子だ。期待はふくらんだ。
それから幾年月・・・また、ボーイ・フレンドは多かったがステディと思える人はいなかった。
私にはもれなくお母さんがついて来る、なんて言っちゃだめよ、と釘をさしておいた。
娘の婚期を遅らせてまで、世話になる気はない。 自分の責任くらい取れる(と思う)
それからまた、また幾年月。 いきなり「結婚して北九州へ行きます。」である。
わ、できちゃった・・・か!ちょっと喜んだ。
25歳を過ぎたころには、「そこそこの人でいいから連れてきて。」と頼んだ。
29歳の時には「誰でもいいから連れてきて。」と言った。 今はもう、あきらめていた。
そこへ、「九州へ行きます」だから、ふたたび舞い上がった。できちゃったでも何でもいい!
「九州の就職が決まったから、行きます。」・・・できちゃってなかった・・・
買い物や引越しやと大騒ぎして去って行った。
節分やバレンタインや申告やとさしせまっていた私もバタバタした。
昔、「学者さんのお嫁さんになって研究の手助けをしてあげるのが夢」なんて言っていたのを思い出した。
その通り学者さんの卵?と結婚した。 いちずでがんこな娘なんだろうな。
届いた一報が「とても働きやすくて良い職場を紹介していただいて、すごく感謝してるの。」 ああ・・・
送別にはお掃除のおばちゃんまで花束をくれて、皆にお前はどこまで手をひろげてたんやと言われたらしい。
初めて娘を知ったような気がする。
会社の方々はじめ可愛がって下さった皆様、ほんとうにありがとうございました。
麗子
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